8.エリアマーケティングにおける経営資源の適正配分方法とは…
従来までの営業活動の問題点は「勘定店主義による非効率営業」と要約することができますが、非効率営業の問題点を集約すると以下のとおりとなります。
- 実績主義による営業エリア外取引拡大=他支店営業エリア内営業による非効率な渉外活動
- 支店間同士の営業エリア重複による非効率なお客様管理
- 量的拡大=営業エリア拡大による過剰人員配備
- 営業エリア外取引先拡大による管理不在先の発生〜セールス機会の損失
- 成果主義と定期人事異動による継続的営業活動の低下〜有益情報の不連続性
- 経費削減に伴う店舗削減活動による取引移管〜お客様価値の低下
つまり、支店単位に営業目標を設定し、量的拡大を前提とした評価基準を制定することにより、対象エリア内での業容拡大が難しい状況下、営業エリアは拡大傾向になりやすく、金融機関内部における支店間どおしの顧客獲得競争が顕著に現れているのです。
これまでも、エリアマーケティングの考え方は体系化されていますが、基本的な考え方は「非効率営業の解消=店舗統廃合による効率化」が前提となっています。都市部等店舗網が充実している地区を対象に、事業性取引や富裕者取引は母店クラスの支店へ集約し、近隣の中小規模店舗は一般個人取引に特化した機能特化型店舗に変換することで、人員の削減を実現するという考え方です。当然、事業性取引や富裕者取引は母店へ移管する作業が伴いますし、エリア営業制対象地区外のお客様も同様に他エリア管轄店への移管手続きを推進する作業を実施します。お客様の都合というよりは金融機関側都合による効率化作業であり、根底には勘定店における管理体制という従来どおりの考え方があるため、取引調整の不備等の発生により、結果としてお客様満足を低下させ、営業活動そのものが効率化できないというケースが多いのではないでしょうか。
お客様主体の営業活動を実現するためには、お客様が活動する地域を前提とした営業体制を整備する必要があるのです。本質的なエリアマーケティングとは、お客様を主体とした管理体制の整備であり、お客様が活動する地域を前提に経営資源の最適配備を実現する営業体制を構築するための考え方にほかありません。エリアマーケティングによる改革のポイントをまとめるとつぎのとおりとなります。
- お客様管理基準の明確化〜有限な経営資源で管理できる適正数を算出する
- 勘定店管理から地域管理への移行による重複エリアの解消〜エリア営業地域の明確化
- エリア営業地区内の地域特性を考慮したブロック化〜地区内店舗機能の明確化と担当者管理地区の明確化
- 地区別担当者の選定〜お客様層、地域特性を加味した担当者スキルノウハウ考慮
- 業績評価基準の明確化〜勘定店評価からお客様別目標値の積算評価への転換
お客様管理基準に関しては、既に述べた戦略基準=セグメント基準を前提に、「維持すべきお客様」「守るべきお客様」「攻めるべきお客様」「厳選すべきお客様」別に策定された営業戦略に基づき提供する商品サービスの質を加味した上で決定し、対応する担当者を選定する必要がありますが、お客様を管理するポイントは、指定エリア内に居住する全てのお客様を対象にすることです。
つまり、これまでの「支店No+CIF番号」という管理から「地区コード+管理店No+地区店No+担当者コード」という管理へ転換することです。全てのお客様に対して管理店または担当者を設定し管理を徹底させることにより、管理不在という問題を解決するとともに、お客様管理基準と担当者の役割を明確にすることで、重要なお客様に対しては、スキルノウハウが異なる担当者が重層的に管理する体制が整備され、より綿密な営業活動を実現することが可能となります。
但し、個人取引の場合、職域取引により口座開設された先や、事業先取引の社長や関係者、事業性融資の保証人等特別に管理すべきお客様の管理体制を明確にする必要があります。一個人として管理する場合であれば、これまで述べてきたように勘定店管理ではなくエリア管理とすべきですが、事業先関連等により一括管理すべき先については、主管理を当該事業先を管理するエリア管轄店または事業先担当者とし、個々の個人が居住するエリア指定地区は補完的管理とする体制の整備も必要となります。
エリア制対象地区の選定に関しては、お客様別戦略基準とエリア特性を加味した戦略基準を前提に重点エリアを選択し、店舗別取引実態と営業活動状況を見極めた上で、支店毎の重複状態を調整しつつ地区内をブロック化します。基本的業務は母店に集約することとし、ブロックを管理する支店は、各ブロックの地域特性とお客様取引構造を考慮した上で機能特化型の店舗に変換するとともに、空白エリアに対してはショップ型の店舗を展開し当該エリア全域を面でカバーできる体制を整備します。また、お客様管理基準によるお客様数によっては人的管理が困難なケースも発生しますので、ダイレクトチャネルによる補完的営業体制も併せて整備拡充する必要もありますし、地区のお客様特性を考慮し、最小限の人員で最大限の活動ができるよう配備する必要があり、人員のスキルノウハウは事前に把握しておく必要があります。
つまり、エリア特性を加味したフルバンキング機能店の機能特化店への変換、渉外営業エリアの重複調整、お客様管理基準に基づく最適スキルを有する人材の配備、ダイレクトチャネルによる営業補完、僚店における勘定処理ができる体制整備により、当該エリアに係わっていた店舗および人員に代表される100の経営資源を75まで削減する事を実現可能とする戦略構築に他ならないのです。