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ファンド特集
 

第21回 ファンド逸品セレクション
「ヘッジファンド最新事情―個人向け商品も充実」

(株)QBR 鈴木 保博

話題を集めるヘッジファンド

ヘッジファンドに対する市場の関心が高まっています。ヘッジファンドは、主に私募形態で、信用取引やデリバティブ(金融派生商品)取引など高度な運用手法を使って、利益を追求する金融商品です。

最近では、レバレッジ手法を使い手持ち資金の数倍となる巨額の資金を運用するヘッジファンドが、高収益を狙うあまり短期売買を繰り返し、相場のかく乱要因になっているとの指摘もあります。各国の意見も、今年に入ってヘッジファンドの監視を強化する方向に傾きましたが、07年4月のG7(先進7ヵ国財務相・中央銀行総裁会議)では「金融システムの効率性に大きく貢献している」と評価する声が高まり、規制監視論はやや後退しています。

「円キャリートレード」が為替相場のかく乱要因

ヘッジファンドの運用手法の一つである「キャリートレード」が、市場で話題となっています。07年2月までは、欧米のヘッジファンドなどが低金利の円資金を借りて、高金利通貨など海外資産で運用する「円キャリートレード」を続けてきました。しかし、07年2月末の中国・上海市場での株価急落をきっかけに市場から資金を引き揚げ、円を買って資金を返済する動きに転じたことで、世界的に円高と株安が加速したとの見方があります。

07年4月のG7では、為替をめぐる対立が影を潜め、円安を事実上容認する形となりました。これを受け、為替相場は、円売りの安心感から円安・ユーロ高が進んでおり、一部では円キャリートレードが再び拡大していると指摘する向きもあります。

日本では、リスクを低減した個人向け商品が登場

日本では、2001年頃からヘッジファンドの戦略を駆使する投資信託(以下、ヘッジファンド型投信)が登場しました。ただ、この頃設定された投信の多くは、売りと買いを組み合わせるロング&ショート(LS)型や、日本株マーケット・ニュートラル(MN)型が中心で、多様な戦略を駆使して運用する本格的なヘッジファンドとは異なるものでした。

04年頃からは、複数の投資戦略を組み合わせるマルチ・ストラテジー(MS)型が増加。アジアや世界の幅広い資産で運用するタイプが登場します。06年末時点のヘッジファンド型投信全体の残高は約3400億円。そのうちMS型が6割強を占め、本数でもMNやLS型に拮抗しています(図表2)。

<図表1>ヘッジファンド関連の主な出来事
1949年 A・W・ジョーンズ(米)、リスク回避型投資システム開発
(ヘッジファンドの起源)
1969年 ジョージ・ソロス、ジム・ロジャースがクォンタム・ファンド結成
1992年 (9月)英ポンド、伊リラ急落〜欧州通貨危機
ジョージ・ソロス、英中央銀行にポンド売りをかけ巨額の利益
〜ヘッジファンドの存在が広く知られるようになる
1997年 (7月)タイ・バーツ切り下げ〜アジア危機
1998年 (3月)「ガートモア・日本株T&C・オープン」設定
〜国内籍個人向けヘッジファンド型投信の先駆け
(8月)ロシア・ルーブル切り下げ〜ロシア危機
(9月)米LTCM、先進国市場の債券裁定取引で巨額損失
(12月)外国籍投信のファンド・オブ・ファンズ、国内販売解禁
〜複数のヘッジファンドに分散投資を行うファンド・オブ・ヘッジ
ファンズの取り扱いが可能に
1999年 (7月)国内籍投信のファンド・オブ・ファンズ、販売解禁
2000年 (3月)米タイガー・マネジメント、運用不振で廃業
2005年 (5月)「タワーK1Jファンド」(日本株ロング・ショートファンド)
清原運用部長、2004年分の高額納税者番付で首位に
2006年 (9月)米アマランス、天然ガス先物相場で巨額損失計上
06年末世界のヘッジファンド運用総額、過去最高の1兆42百億
ドル、前年比29%増(出所:4月2日付日経金融新聞、HFR社調べ)
2007年 (2月)G7共同声明、ヘッジファンドへの警戒の必要性明記
(4月)G7でヘッジファンドめぐり議論、規制論が後退
(秋頃)金融庁、国内ヘッジファンドの実態調査を開始予定

<参考文献>
「オルタナティブ投資入門 ヘッジファンドのすべて」(東洋経済新報社)
「ヘッジファンドを巡る最近の動向」(日本銀行・2005年7月)

<図表2>ヘッジファンド型投信の純資産残高推移

<図表2>ヘッジファンド型投信の純資産残高推移

※国内設定の追加型株式投信。残高(左軸)。本数(右軸)
MN=マーケットニュートラル、LS=ロングショート、MS=マルチストラテジー

<図表3>主なヘッジ型投信
商品区分(投資対象) ファンド名(運用会社)
ヘッジファンド マーケットニュートラル
ロングショート
GS日本株式マーケット・ニュートラル・F(ゴールドマン)
日本株マーケット・ニュートラル・ラップ(新光)
日本株・ロング・ショート・ファンド(スパークス)
マルチストラテジー
GSグローバルマーケットストラテジー(ゴールドマン)
ユナイテッド・マルチ・マネージャー・F1(ユナイテッド)
野村メロン・ダイナミック・ファンド(メロン)
REIT グローバルREITオープン(野村)
DIAMワールドリートインカム(毎月決算)(興銀第一)
ワールド・リート・オープン(毎月決算型)(国際)
日興・AMPグローバルREIT毎月分配A(日興)
三井住友・グローバル・リート・オープン(三井住友)
コモディティ(商品) AIGコモディティファンド(AIG)
野村コモディティ投信(野村)
ダイワ・コモディティインデックス・ファンド(大和)
資産分散型 財産3分法F(不動産・債券・株式)毎月分配型(日興)
りそな・世界資産分散ファンド(大和)
野村世界6資産分散投信(分配コース)(野村)
グローバル3資産ファンド(三井住友)
住信 財産四分法ファンド(毎月決算型)(住信AM)

※追加型株式投信を対象にQBRが独自に区分。原則、純資産残高の大きいファンドを掲載。
ファンド名は一部略称。

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