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ファンド特集
 

第13回 ファンド逸品セレクション
「中国株ファンド」

(株)QBR 根岸 てるみ

中国株と中国株ファンドが2006年急騰

2006年は中国株が急上昇しました。中国の代表的株価指数である上海総合株価指数の年間上昇率は2.3倍(昨年末時点、現地通貨ベース)、香港株式市場上場の中国本土企業で構成する香港H株指数は94%(同)と急伸。右肩上がりの相場を受け、中国株に投資するファンドも2006年は好成績を収めました。また、中国は年初に金融引き締め政策を発表しましたが、上海総合株価指数はその後も過去最高値を更新。そこで、中国株急騰の背景や中国株ファンドの現状について探りました。

上海の街並み

上海の街並み

中国証券市場の改革進展を好感し相場が上昇

世界主要株価指数の2006年の成績(騰落率)を調べたところ、昨年は中国株の上昇が際立ちました(表1参照)。中国政府などが保有し市場で取引されない非流通株の改革が中国で進み、先進国並みの証券市場に近づいている点が評価されたためです。

<表1>主要株価指数の2006年の年間上昇率
株価指数名(一部略称) 上昇率(%)
上海総合株価指数130.4
香港H株指数94.0
香港レッドチップ指数72.1
ロシア RTS指数70.7
インド ムンバイSENSEX3046.7
香港ハンセン指数34.2
ブラジル ボベスパ指数32.9
ドイツ DAX指数22.0
フランス CAC40指数17.5
NYダウ16.3
イギリス FTSE100指数 10.7
NASDAQ総合指数 9.5
日経平均株価 6.9

※2005年末と2006年末のデータを比較
※ロシア RTS指数は米ドルベース、その他は現地通貨ベース

中国本土には2タイプの株式があります(下図参照)。1つは上場企業でありながらも国家や企業が株式を保有し、市場で売買されない非流通株です。これまでは、この非流通株の比率が市場で取り引きされる流通株より高い状況でした。

ちなみに、過去の日本においては、国有企業であったJR各社や日本電信電話(NTT)、日本たばこ産業(JT)などが完全民営化を掲げ、徐々に株式を放出したという事例があります。

中国本土の2タイプの株式

中国に話を戻しますと、非流通株の改革はなかなか実行できない状況でした。株式放出により市場で取り引きされる株数が増加し、需給が悪化するという懸念があったためです。放出には株主総会で3分の2以上の流通株主の賛成が必要ですが、こうした需給に対する懸念などもあり、過去には流通株主との間で物別れに終わるケースが多くありました。

さて今回、改革に成功した最大の理由は、非流通株主と流通株主の交渉が実現し、結果として流通株主が補償案(各企業により異なるが、例えば、10株の保有に対し新たに3株を無償提供するなど)を受け入れたことにあります。現在、中国本土のA株市場(※1)に上場する大半の中国企業が放出(意向を表明した企業も含む)を実施したと言われています。

至難と言われ続けていた問題が解決に向かったことを好感し、中国本土のA株相場が急上昇。外国人投資家によるA株への投資は一部の機関投資家に限られています。このため、中国本土企業が上場しており、外国人が自由に投資できる香港H株市場(※1)にも資金が流入しました。

また、市場整備が進んだこともあり、今年1月には中国の生保大手中国人寿保険(香港H株市場に既上場)が上海市場にも重複上場しました。今後は同様のケースが増えるかもしれません。

(※1)中国株は中国本土の株式市場に上場する銘柄と、香港市場に上場する銘柄に大別できる。
中国本土は中国国内投資家と一部外国人投資家が投資可能な中国本土A株市場と、外国人投資家が投資できる中国本土B株市場に分かれている。
香港は外国人投資家が投資可能で中国資本の中国企業が上場する香港H株市場と、中国資本の香港企業が上場する香港レッドチップ市場が主にある。
中国A株市場とB株市場、中国本土市場と香港市場など、重複上場する銘柄もある。

<チャート1>上海総合株価指数と香港H株指数の昨年1年間の値動き ※現地通貨ベース
(チャート1−1)

<チャート1>上海総合株価指数と香港H株指数の昨年1年間の値動き ※現地通貨ベース
(チャート1−1)

(チャート2−2)

<チャート1>上海総合株価指数と香港H株指数の昨年1年間の値動き ※現地通貨ベース
(チャート2−2)

そのほか、人民元の先高観も相場上昇の後押し要因となりました。中国の高成長に対し人民元が依然割安な水準にあるとの見方から、中国資産を保有したいと思う投資家が増え、中国株の上昇につながりました。

人民元

人民元

2006年投信騰落率ランキング

中国株の上昇を受け、中国株ファンドの成績も好調でした。全追加型株式投信を対象とした2006年の年間騰落率ランキングでは、上位10ファンド全てが中国株に投資するファンドという結果になりました。

ランキングトップは香港市場の中国株中心に投資するファンド。2位と3位は中国本土A株に投資するファンドで、現在、追加型投信(継続的に購入可能な投信)で中国A株に投資できるファンドはこの2本のみ。

なお、野村アセットマネジメントでは中国本土A株に投資する単位型投信(購入期間が限定される投信)を2007年1月下旬に設定する予定です。日本の個人投資家が中国本土A株に投資する方法はファンドに限定されることから、注目が集まりそうです。

<表2>1年間騰落率ランキング
  運用会社
(略称)
ファンド名
(略称)
1年間騰落率
(%)
純資産残高
(億円)
1 JPモルガン JFチャイナ・アクティブ・オープン 107.6 85.6
2 日興 日興AM中国A株ファンドU 102.3 315.4
3 日興 日興AM中国A株ファンド 101.1 328.5
4 興銀第一ライフ DIAM中国関連株オープン 97.2 330.1
5 フィデリティ フィデリティ・チャイナ・フォーカス・OP 95.9 84.2
6 インベスコ インベスコチャイナスターオープン 92.4 7.7
7 三井住友 三井住友・メインランド・チャイナ・OP 89.1 34.4
8 日本 チャイナ・ロード 87.6 128.9
9 JPモルガン JFチャイナ・ファンド 86.4 377.1
10 三井住友 チャイナ・フロンティアオープン 86.2 32.4

※データは2006年末時点
※対象は投信協会分類の派生商品型に属すブル・ベア型ファンドを除いた、全追加型株式
※基準価格の騰落率は課税前分配金を再投資したとして計算

中国株ファンドの価格変動リスク

中国株は一般に値動きが荒いと言われていますが、過去の価格変動リスクを示す「QFR」(※2)をみると、概ね日本株ファンドと同水準という結果でした<表3参照>。1銘柄の値動きは荒くとも、複数の銘柄に分散投資することでリスク低減が図れます。

ただ、特定銘柄の組入比率が10%近くに達し、同銘柄の株価変動の影響を受けやすくなっているファンドもあるので注意が必要です。また、中国株ファンドの多くは為替ヘッジをしていないため、為替相場の影響を受けます。

<表3>残高が大きい中国株ファンド5本のQFR
運用会社
(略称)
ファンド名
(略称)
純資産残高
(億円)
QUICK FUND RISK 1年間騰落率(%)
三井住友 三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド 1052.9 QFR4 71.4
HSBC HSBC チャイナ オープン 775.5 QFR5 81.6
大和住銀 チャイナ騰飛(チャイナ・エクイティ・OP) 710.2 QFR4 83.1
三菱UFJ 三菱UFJ チャイナオープン 383.1 QFR4 76.6
JPモルガン JFチャイナ・ファンド 377.1 QFR4 86.4
  日本株ファンドの平均 - QFR4 ▲ 1.0
  米国株ファンドの平均 - QFR3 16.3

※データは2006年末時点
※日本株ファンドはQR投信指数_国内株式型[大分類]を使用
※米国株ファンドはQR投信指数_北米株型(ノーヘッジ)を使用

(※2)QUICK FUND RISK(QFR)はリスク指標の1つで、QUICKが追加型株式投信やインデックスを対象に毎月算出・公表。投信の価格変動リスク(過去の価格 変動の度合い)をTOPIX(東証株価指数)との相対評価で表す。評価は最小の「QFR1」から最大の「QFR5*」の6段階。「QFR3」がTOPIXと同程度のリスク値。

2007年の企業業績も好調な見通し

中国国内では、2007年の企業業績が2ケタ増益との見方があります。中国企業に対する法人税率引き下げの観測もあり、実現されれば企業収益をさらに押し上げる可能性もありそうです。また、2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博など相次ぐ大イベントも今後の経済成長を促すでしょう。

高い経済成長を背景とした好業績に加え 証券市場の整備が進んだことで、海外投資家の中国株に対する見方も徐々に変化してきています。中国は証券市場の新たな改革を実施し、さらなる市場活性化を目指すことでしょう。

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